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矢部太郎&山田ルイ53世スペシャル対談(後編) “一冊屋”芸人の今とこれから
2018/07/12 06:00

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 カラテカの矢部太郎(41)と髭男爵の山田ルイ53世(43)…これまであるようでなかった2人の対談が実現。前編では、ともに出演していたバラエティー番組『電波少年』シリーズのエピソードトークに花を咲かせたが、ここからは文字通り“本題”に突入。矢部の漫画家デビュー作『大家さんと僕』と、山田の“一発屋芸人”たちを対象に取材を行ったルポルタージュ形式の書籍『一発屋芸人列伝』への印象と、書き手としての今後の目標を話してもらった。

■矢部太郎“ガサツ”への憧れ 山田の取材力に戦々恐々

【山田ルイ53世】まずは僕から話させてもらいますね。この『大家さんと僕』は、ずっと読んでいたいですよね。僕も大家さんいたんですけど、全然そんな関係性じゃなくて、敵だったんですよ(笑)。三畳8000円のトイレ共同風呂なしアパートみたいなところに、だいぶ長いこと住んでいて、矢部さんのところと構造が一緒で、下に大家さんが住んでいて、2階が僕の部屋だったんですけど、長屋みたいになっていて、最初はほかにも何人か住んでいたんですけど、最終的には僕しかいなくなったんですけど、敵になっちゃった(笑)。その経験があるから、年齢も違うし、他人やしっていう中で、こんなホカホカホクホクした関係性になれるという、矢部さんの人間力みたいなところがすごいなと思いました。

【矢部太郎】大家さんがすごく社交的な方なので、山田さんもここだったら敵にならないですよ。

【山田】いやーこれは運命の出会いですから、僕だったらこうはなってないですよ。普段はねじ曲がった、年末の換気扇みたいな人間なんですけど、これを読んだ時だけサッときれいになりました。一つひとつのエピソードもいいんですよねー。ただ、関西人はガサツだって思っているところにちょっとドキっとしました(笑)。僕も西の方の出身(兵庫県)なので。

【矢部】すみません。「ガサツ」というのは、憧れも込めての表現で…。ガサツという言葉で書いていますけど、もっといい言葉あると思うんです。まだ僕も、いい表現が思いついていないんですけど、気を使わないことで相手も気を使わないというのはいいなと思っているので、ガサツはとても憧れます。こんな感じで、山田さんは僕の漫画もめちゃくちゃおもしろく感想を言ってくださるんですよ。その一人ひとりに愛がある感じが『一発屋芸人列伝』にはあって、みなさんのことをおもしろく紹介しているなって思いました。ただ、最終的にはいい感じになるんですけど、途中の部分では「この人たち、これは書かれたくないだろうな」という話がめっちゃ出てきますよね(笑)。

【山田】そんなとこありました?

【矢部】えーみんな嫌でしょう(笑)。この本に登場するハローケイスケさんは、僕も仲良くさせてもらっているんですけど、僕と仲良かった時期とかは「そこから10年売れなかった」というたったの一行で終わっているんですよ(笑)。

【山田】それは、文字数が決まっていますからね…。本当はいろいろ書きたいですけど「実は、その頃はカラテカの矢部太郎とご飯に行っていて…」っていうところまでは書けないですから(笑)。

【矢部】でも、あの頃も生きていたんですよ(笑)。最初は面白いと思って読んでいたんですけど、途中から「絶対に取材されたくない」って思うようになりました。キンタロー。とかも「闇がある」とか、ああいう部分も書かれるんだって。そうだ、あれも怖いんですよ。「鉄板のトークを披露した」みたいな表現があって…。

【山田】何かダメ出しの方が多くなっているような気がするんですけど、大丈夫ですか(笑)。

【矢部】すみません(笑)。山田さんは、芸人が芸人のことを書くので「やっぱり、この人たちはおもしろいんだ」っていうことを書かないといけない本だから、絶対におもしろくないといけない。僕の本はそうじゃないですけど、山田さんは確実に笑いがないと成立しない本と思うので、そこがすごいなと。言うなれば“予告ホームラン”みたいなものですよね。

【山田】ありがとうございます。うれしいですね。でも、矢部さんもやっぱり笑いを取りにいっていますよね? 芸人・矢部さんの部分もしっかり入っているんですけど、ほっこり感もあって、その笑わせたいとほっこりのバランスがやっぱりすごいなって思います。

【矢部】僕は全編爆笑のつもりで描いていたんですけど、みなさん「ほっこりする」と言ってくれるので、それでもいいかなと思います(笑)。

【山田】(2人の作品はともに新潮社から出ているが?)これは誰で味をしめたんですか?又吉(直樹)くんですか(笑)。

【矢部】そうでしょうね。僕は『劇場』のバーターみたいなものですから…

【山田】バーターでこんな売れるか(笑)。又吉くんのすばらしい作品があって、今度は漫画でっていう感じですかね。東野幸治さんも『週刊新潮』で連載をやられていますけど、あれもおもしろいですよね。エピソードの躍動感っていうか、あそこまで長いことずっと一線でやってらっしゃるからこそのエピソードですよね。そんな東野さんには今回、本の帯文を書いていただきました。テリー伊藤さんと高田明さんにも書いていただき、本当にありがたいだけです。

■キモカワ芸人の元祖は矢部太郎? 高評価にも浮かれず「これからも一生懸命やる」

【山田】正直、矢部さんの半生なんてめちゃくちゃ取材して書きたいですよね。今回の取材とは関係ないんですけど、ショートネタブームの時になんでカラテカさんは出てこなかったんだとか、めちゃくちゃ聞きたい。ちなみに『M-1グランプリ』とかは出ていたんですか?

【矢部】出ましたけど、ああいうのに出ると実力がハッキリしちゃうじゃないですか。(『電波少年』のイメージがあった?)それもあるかもしれないですね。それでもなんとかやっているところに、『M-1』っていうハッキリとおもしろいかどうかが分かれる大会には、出ない方がいいかなって…。

【山田】なんていう残酷な質問をしてしまったのか(笑)。そんな印象はないですけどね。

【矢部】それこそ、アンガールズの田中卓志くんに言われたんですよ。(声色を真似しながら)「矢部くんとかは、そういうの出ない方がいいよ」と言われて、そうかって思ったんです。

【山田】似てる(笑)。そこも思ったところがあって、アンガールズの田中さんとかも、たぶん矢部さんがいなかったら、売れたにしてももうちょっと時間がかかったと思うんです。だから、この本でいえば、ジョイマンの高木くんとかと系譜が一緒でしょ。「カラテカ矢部→アンガールズ田中→ジョイマン高木」っていう…そういう「キモかわいい」の元祖じゃないですけど、そういう道を拓(ひら)いた人でもあるという認識もあります。『大家さんと僕』が話題になってから、何か変わったことはありますか?

【矢部】ちょっと怖いなっていうのはありますね。あんまり売れたことなかったので、売れない芸人の上に、これからは売れない漫画家って言われる将来がきて、“一冊屋”になるんじゃないかって。

【山田】いや、これはもう三冊ですよ。だから三発です。

【矢部】いやいや…だから、次あたり『一冊屋芸人列伝』を書かれる時はぜひ。

【山田】ほか誰に聞くんですか(笑)。本当の作家さんは絶対に取材に答えてくれないでしょうし…。みなさん、『大家さんと僕』の第2巻を心待ちにしていますよ。

【矢部】いやーでも怖さはありますよ。そういう気持ち、ありませんか?

【山田】こっちの本はまだ売れてないんで、そんなに(笑)。ただ、けっこうほめていただいたので、それで僕の中ではけっこうペイしている感じですね。ほめられるっていうのが、ここ10年なかったものですから。

【矢部】(か細い声で)あぁーわかります

【山田】アカンアカン、みじめな対談になる! 我々は先生ですから(笑)。

【矢部】いつもの感じになりそうでした、危なかった(笑)。

(今後の目標について?)
【矢部】僕は今『週刊新潮』で連載している『大家さんと僕』を描きながら、もう1冊出せたらいいなと思っています。

【山田】僕も似たようなことです。また何か書かせていただく機会があれば、一生懸命やる…というつまらない答えになっていますけど、大きな事を言って、その後スベるっていうパターンはこりごりしているので(笑)。

【矢部】真面目なことを言えば、先に言っちゃえば自分がボケなくて済むなと思って、質問されてすぐ話し出しちゃいました…

【山田】そんなこと言わなくていいんですよ。何、良心の呵責(かしゃく)に耐えかねているんですか(笑)。本当に矢部さんのことを聞いて書いてみたいなと思っているので、ぜひ取材お願いします。
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